研究課題/領域番号 |
60550614
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
園田 高明 九大, 生産科学研究所, 助教授 (90108770)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1985年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 反応性中間体 / フェニルカチオン / 加溶媒分解反応 / アリールトリフルオロメタンスルホナート / 超共役 / 芳香族求核置換反応 |
研究概要 |
アリールカチオン(フェニルカチオン)は興味ある二価の炭素陽イオンとしてこれまで数多くの理論的実験的研究がなされて来た反応性中間体である。溶液中でのアリールカチオンの発生法として、これまでにアレーンジアゾニラムイオンの脱窒素反応が知られていたが、ジアゾニウムイオンの取扱い上の難点に加えてその複雑な反応性ゆえにアリールカチオンの別途合成法が長く望まれていた。著者らはフェニルトリフラートの両オルト位をトリメチルシリル基あるいは三級ブチル基で置換したアリールトリフラートを種々合成し、ソルボリシス条件下でアリールトリフラートからアリールカチオンが定量的に発生することを、速度論的立体化学的手法を用いて明確にした。分子軌道法を用いた理論的共同研究の結果中間体のフェニルカチオンが両オルト位の炭素-ケイ素シグマ結合によりきわめて大きな超共役安定化を受けることが、このソルボリシス反応の推進力であることが明確となった。 さらに著者らはアリールトリフラートのソルボリシス反応で発生するアリールカチオンの反応性を速度論的手法を用いて詳細に検討すると同時に本反応が芳香族求核置換反応として合成化学的にも有用な反応であることを明確にした。また光分解法を用いることにより、アリールトリフラートおよびアリールハライドからアリールカチオンが容易に発生できること、またアリールカチオンがカルベン-カチオンとしての性質を有するという興味ある事実を見出した。 本科学研究費補助金を用いて著者らが遂行した実験から得られた結果は、いづれもアリールカチオン中間体の研究上きわめて興味ある新知見と考えられ、今後の基礎的および応用研究が大いに期待されるものである。
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