研究概要 |
近年半導体用シリコンの需要は急増しているが、従来法で用いられているロッド上に析出させるベルジャー型反応器の熱効率は大変低い。モノシランからの多結晶シリコンの製造に流動層を応用する試みは、UCC/JPLによりなされたが、反応器壁へのシリコン析出と反応器の破壊,粒子凝集による非流動化,気相均相反応により生成したシリコン微粉の飛び出し、生成シリコンの品質,形状といったいくつかの問題があることが明らかとなった。 本研究では、モノシランの熱分解反応速度を、流動層反応条件に近い条件の下で測定した。温度範囲は823〜973Kとした。気相均相および固体表面上析出反応速度を分離して測定し、得られた一次反応速度定数を評価した。得られた活性化エネルギーは各々、231および193kJ/molであった。微粉生成の原因となる気相析出反応の、全反応に占める割合は、流動層反応条件すなわち温度823〜973K、粒子が比較的密に存在する条件の下で、高々10%であった。流動層析出反応器内における微粉の生成速度を、本研究で得られた反応速度式および流動層モデルを用いて評価した。 流動層反応器内で生成する微粉の挙動を、二次元コールドモデル流動層を用いて測定した。流動層を2分し、粒子を強制的に循環させると、粒子上昇部からの微粉の飛び出し速度係数は、同条件で運転される従来の(循環のない)流動層からの飛び出し速度係数に比して大幅に減少した。また、トレーサー微粉を循環流動層粒子下降部層表面に投入することにより、循環のない場合に比して、初期粒子飛び出し量を大幅に減少させることができた。 今後はさらに、トリクロロシランの水素還元によるシリコン析出についての実験も行い、気相および析出反応速度、析出物のモルフォロジーに対する原料ガスの違いの影響を検討し、微粉生成の少い、高品質シリコン製造法を探りたい。
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