研究課題/領域番号 |
60550666
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学工学
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
寺本 正明 京工繊大, 工芸学部, 教授 (60026086)
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研究分担者 |
今村 成一郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (00027898)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 促進輸送 / 担体輸送 / 液体膜 / ガス分離膜 / 含浸液膜 / エチレン / 硝酸銀 |
研究概要 |
促進拡散機能を有する液体膜は高分子膜と比較して格段に高い透過選択性を示す。本研究では、主に硝酸銀を担体とするエチレンの分離を例にとり、含浸液膜での透過機構を明かにするとともに、より安定で膜透過性の高い新しい膜形態として流動液膜を提案し、その性能評価を行った。 まず、硝酸銀をエチレンの担体とする含浸液膜によるエチレンとエタンの分離実験では、エチレン/エタンの分離係数は担体濃度の増加とともに増大し、約1000に達した。瞬間可逆反応を伴う促進輸送速度を推算する近似解法を提出し、本方法は担体と錯体の拡散係数がかなり異なる場合に対しても適用可能であることを示した。エチレンの促進輸送速度に対する操作条件の影響は、エチレンと銀イオンの反応が瞬間可逆であるとするモデルにより良好に説明できた。 次に、原料ガス流路、流動液膜流路(担体溶液流路)、スイープガス流路を疎水性多孔質膜で仕切り、各流路にメッシュスペーサを挿入した流動液膜セルを試作し、エチレン、エタンの分離実験を行った。流動液膜では、その透過性は液膜流量に依存し、高流量域では前述の含浸液膜と比べて5倍の透過性を示し、溶媒の蒸発に起因する膜劣化は認められなかった。なお、ポリプロピレン製多孔質膜を用いたとき酸化銀と推定される固体が析出して膜面を覆い透過速度が低下したが、この膜劣化は液膜相に硝酸を添加することにより防止できた。また、テフロン製多孔質膜を用いたときは11日間以上にわたって硝酸無添加でも膜劣化は認められなかった。また、スイープガス側を減圧にすることにより、一段で純度98%以上のエチレンが得られた。実験結果は、膜透過モデル、設計方程式に基づく計算結果と概収一致し、流動液膜モジュール設計指針を確立することができた。
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