研究課題/領域番号 |
60550672
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学工学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
酒井 清孝 早稲田大, 理工学部, 教授 (00063727)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1985年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | セラミック膜 / 血漿分離 / 精密濾過 / ふるい係数 / 膜再生 / 溶出 / 膜構造 / 孔径分布 |
研究概要 |
従来我々が行ってきた市販高分子血漿分離膜の評価法に基づき、無機新素材(焼結体セラミック膜および多孔質ガラス膜)で作られた血漿分離膜の開発に関する研究を行った。 1.溶出試験 焼結体セラミック膜および多孔質ガラス膜の構成成分の溶出について、厚生省の「透析型人工腎臓装置承認基準」に準じて検討を加えた。焼結体セラミック膜では、いずれの溶出試験においても膜構成成分の溶出は認められなかった。多孔質ガラス膜ではケイ素の溶出が観察された。多孔質ガラス膜の構成成分の溶出を防止するには、有機物など生体適合性材料を膜表面に化学結合させて表面修飾を行う必要がある。焼結体セラミック膜および多孔質ガラス膜が血漿と接触した時、タンパク質の変性は起こらなかった。 2.濾過試験 濾過試験を行った結果、孔直径4X【10^(-7)】m以上、空孔率40%以上の無機分離膜は高分子血漿分離膜と同等の濾過性能を示した。また焼結体セラミック膜および多孔質ガラス膜は、約13kpaの膜間圧力差でも溶血を起こさなかった。このことは従来の高分子血漿分離膜では考えられないことであり、焼結体セラミック膜および多孔質ガラス膜の持つ優れた特徴の1つである。さらにこれらの無機分離膜は1273kで2時間の高温加熱あるいは次亜塩素酸ナトリウム洗浄により、一度低下した膜性能が完全に元に回復し、再使用が可能である。多孔質ガラス膜を用いて最適孔直径を決定したところ、孔直径1X【10^(-6)】mの時に最も大きな濾過性能が得られ、膜間圧力差3.3kpaおよび壁ずり速度2000【S^(-1)】の操作条件下で得られる濾過流束は、高分子血漿分離膜のそれの約4倍という高値を示した。 以上の結果より、無機膜の血漿分離膜としての可能性が十分であることが明らかとなった。
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