研究課題/領域番号 |
60560049
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物保護
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高藤 晃雄 京大, 農学部, 助教授 (50026598)
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研究分担者 |
久野 英二 京都大学, 農学部, 教授 (10026560)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ハダニ / 生殖的不親和性 / 系統間交雑 / 生殖隔離 / 交尾干渉 / 個体群動態 |
研究概要 |
ミカンハダニには休眠系統(DP)と非休眠系統(C)の2つの系統があり、前者は落葉性果樹のみに、後者はカンキツ、落葉性果樹の両方に発生する。 1.これら2系統間の交雑からは【F_1】雌成虫が全く生まれず、両系統には明確な生殖的隔離が存在する。 2.両系統間には交尾はふつうにみられるが、C♀×Dp♂では交尾が中断されるケースが多い。 3.生殖不親和性には正逆交雑で違いがあり、Dp♀×C♂からの卵の死亡率はC♀×Dp♂からの卵にくらべて有意に高くなる。 4.先に他系統の雄と交尾すると後で自系統の雄と交尾してもそれは無効になり、雌成虫が生じない割合が高く、特に(Dp♀×C♂)×Dp♂では交尾がほゞ完全に無効になる。このことは両系統間の交雑からは【F_1】♀成虫は生じないものの卵受精は起っていることを示している。 5.Dp♂には交尾選択性があり、自系統の雌に強い選好性を示すのに対し、C♂にはこのような交尾選択性が全くない。 6.両系統を混在させると各系統ともに有効交尾率は50%以下になり、明らかに両系統間の交尾干渉による増殖へのマイナス効果があらわれる。 7.落葉性果樹では、非休眠系統は越冬に失敗する。 従って、ナシなどの落葉性果樹の発生は外部からの侵入によるものである。8.我が国の中緯度地帯のナシ園では晩夏から秋にかけてこれら2つの系統が混在することがある。このような混在園では翌春の休眠系統の雌比が著しく下がり、発生が抑制される。これは両者の系統間交雑にみられる交尾干渉によるものと考えられる。 9.このように、2系統間には遺伝子の交流はないものの交尾干渉による個体群増殖の抑制が示唆される。今後、これに基いたハダニ類の遺伝的防除の試みが必要である。
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