研究課題/領域番号 |
60560063
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
蚕糸学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小林 勝 信大, 繊維学部, 助手 (10021164)
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研究分担者 |
田中 一行 信州大学, 繊維学部, 教授 (00021139)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | テンサン / サクサン / 耐病性 / 放養育 / 違作 / 核多角体病 / 疫学 / 実用形質 / 育種素材 / 選抜育種 / 病原の土壌蓄積 / 水性二層分配法 / 病原伝播 / 染色体 / 違数性 |
研究概要 |
テンサンの作柄は半作以下と極端に悪い。これは蚕病、とくに核多角体病ウイルス(NPV)に対するテンサンの抵抗性が低いことを主因に、飼育形式(放養育)による消毒の不徹底が相乗的に作用しているものと考えられる。この研究は、テンサンにおける作柄の向上対策を、耐病性系統の育成及び違作もたらす核多角体病の疫学の2点から検討した。 1.テンサン(n=31)雌と、サクサン(n=49)雄を交雑し、雑種の実用形質をテンサンと比較した。1)初代の産卵性は劣っていたが、孵化後の経過は良好で、NPVに対する感染抵抗性も高かった。また、繭層重、繭層歩合もともに優っていた。その他、幼虫の外部形態はテンサンに類似していたが、蛹体色、成虫の翅色は両親の中間色を示した。この1代雑種(【F_1】)を用い、【F_1】メテンサン、テンサンメ【F_1】及び、【F_1】selfの3組合せを得た。2)雑種第2代以降の飼育成績では、いずれも実用形質の上で初代のような顕著の差がみられなかった。一方、【F_1】×テンサン、【F_1】selfでは3齢期に:第2〜第4体節の側面部に黒斑を生じた。この時期は精巣における有糸分裂期に当り、しかも染色体には違数性が観察された。 2.耐病性系統(SR)と体色変異系統(MT)の虫質及び繭糸質を調べ、その結果を対照区と比較した。1)SR、MTともに孵化歩合、結繭歩合が対照区より高かった。2)繭糸質では、SRの雌が繭糸量多く、MTは雌雄ともに糸の強伸度に優れていた。 3.テンサン放養育をくり返す過程で発生する核多角体病蚕に由来する病原多角体が土壌表層に蓄積される事実を明らかにした。この多角体がテンサンの違作にどう関係しているかを調べ、その結果、1)核多角体病が多発したくぬぎ樹の飼育の終了した枝葉から、多量の多角体が分離、回収された。2)圃場の生息昆虫における核多角体病の有無を調べ、この結果と(1)の結果を併せ考察して、病原伝播の図式を想定した。
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