研究課題/領域番号 |
60560084
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用生物化学・栄養化学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
一島 英治 農工大, 農学部, 教授 (60015063)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | セリンプロティナーゼ / プロティナーゼ / プロテアーゼ / 老化 / 死 / 麹菌 / Aspergillus |
研究概要 |
生物の死は、一般に個体全体の死として扱われている。個体の死に至る過程は個体を形成する組織の死、さらには組織を形成する細胞の死、そして細胞機能の低下を導く分子レベルの死の問題につながる。本研究は、細胞構成成分である機能性高分子のセリンプロティナーゼに焦点をあて、分子レベルにおける老化と死の問題の解析をおこなったものである。 麹菌はわが国のGNPの3〜4%を占める発酵工業の約3分の1にかかわりをもつ重要な生物である。麹菌の主要なプロテアーゼにセリンプロティナーゼがある。麹菌のセリンプロティナーゼはディスク電気泳動的に移動度の異る5つの分子種に分かれた。この多形の分子種は電気泳動移動度の速いものよりSep【I】、Sep【II】、Sep【III】、Sep【IV】、Sep【V】と命名された。それぞれ純粋に単離された各分子種は、いずれの分子種もSDSゲル電気泳動的に36Kという同じ分量を与え、N末端はグリシン、C末端はアラニンで、また円偏光二色性の測定からみた高次構造上に大きな変化はみられなかった。各々の分子種をpH8、30℃にインキュベイトすると、【V】は【IV】に、【III】は【IV】に、【III】は【II】に転換した。【II】は安定だが、4℃に5ケ月保存したところ【I】に転換した。各種の分子種は一方向にのみ分子転換をしめした。さらに、Sep【I】のみはSDSゲル電気泳動により分子の眞中で分断し、グリシンをN末端とする19Kと、17Kの画分になった。 多様な各分子種について、アミノ酸8残基からなるアンジオテンシン中の【Tyr^4】-【1le^5】結合の分解性を反応速度論的に検討したところ、触媒効率(kcat/Km)は【IV】→【III】→【II】になるにつれ次第に大きくなり、【II】で最高になり、【I】で急に小さな値となった。この変化は生物の成長曲線に類似していた。この状態はセリンプロティナーゼの老化と死としとらえることができる。この原因をさらに追求中である。
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