研究概要 |
本研究は作物のCo_2固定能率を律速するRuBPカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(RuBisCO)の構造と機能および生合成の機構を生化学的, 分子生物学的に解明してゆくことを目的に研究を行った. この目的のためにサブユニットの解離・会合が容易におこりうること, また遺伝子の構造が簡単であること等が特徴のために, 光合成細菌Chromatiumと藍藻AphanotheceのRuBisCOを材料として用いた. 得られた実績は以下のとおりである. (1)Chromatium RuBisCO遺伝子の一次構造の決定ChromatiumのRuBisCO遺伝子を藍藻Anacystis nidulansの大サブユニットに対するDNA断片をプローブとして, クローニングを行った. ChromatiumのRuBisCO遺伝子は, 大サブユニットと小サブユニットの遺伝子が並んでいた. さらにChromatiumの染色体DNA上には2組のRuBisCO遺伝子が存在し, 一方のみが細胞内で発現していることが判明した. 大サブユニットと小サブユニットの遺伝子を含むDNA断片を大腸菌の中で発現させると, 酵素活性をもったホロ酵素が形成された. (2)Aphanothece細胞におけるRuBisCOの生合成 Aphanothece細胞においては, 培地中のNacl濃度の上昇にともない, RuBisCOの蛋白質レベルが上昇することをWestern blotting法により証明した. また^<35>S-メチオニンによるIn Vivo Labelling法により, RuBisCOの生合成が上昇したことを明らかにした. これらのことが高濃度のNaClを含む培地でも生育可能になる耐塩性と深くむすびついていることを検証した. (3)高等植物を材料として, 浸透圧調節物質ベタインの生合成に関与する酵素の精製を行った.
|