研究課題/領域番号 |
60560096
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用生物化学・栄養化学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
重田 征子 広島大, 工学部, 助手 (10034381)
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研究分担者 |
小埜 和久 広島大学, 工学部, 助手 (10144883)
岡 智 広島大学, 工学部, 教授 (80034320)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1985年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | ホヤ抗原 / 喘息 / アレルゲン / エピトープ / 構造解析 / O-グリコシド糖鎖 / 皮内反応 / N-アセチルガラクトサミン |
研究概要 |
天然物アレルギーの一つのモデルとして、喘息誘発性抗原(D【III】a)と、喘息誘発性が全くなく減感作治療薬として用いられる抗原(Gi-rep,Ei-M)の両タイプを持つ、ホヤ抗原を用いて、抗原機能の分化と化学構造について実験を行い、次の事柄を明らかにした。(1)、D【III】aの免疫学的、物理化学的研究から、D【III】aのエピトープは、抗原の糖鎖上に存在する。蛋白部分は、エピトープにはならないが、結膜反応活性の保持、即、喘息誘発のために必須である。(2)、D【III】aのエピトープが糖鎖上に存在することが明らかになったため、D【III】aの抗原活性糖鎖の構造解析を行った結果、非還元末端に2molのGalNAcを持つ糖鎖であり、このGalNAcを含む、非還元末端付近の構造が、エピトープとなっていると考えられた。(3)、ホヤ体液から大量に得られるH抗原を材料として、O-グリコシド糖鎖を切り出し、精製して、23個の糖鎖を得、構造解析を行った結果、これらの糖鎖中、12個の糖鎖に皮内反応活性が認められた。これらの糖鎖はすべて、2つ以上の分岐構造を持ち、それらに共通して、2molのGaINAcが非還元未端に存在した。活性糖鎖の構造は、D【III】aの活性糖鎖の構造と共通していた。 以上の結果から、ホヤ抗原のエピトープは、喘息誘発性アレルゲンであるD【III】aも、喘息誘発性の全くないH抗原も、共通しており、非還元未端に2molのGalNAcを含む糖鎖であった。これらの共通したエピトープを含む構造が、一方では、喘息誘発性アレルゲンとなり、もう1方では、減感作治療用抗原となることが明らかとなった。これらの結果をさらに発展させ、蛋白上でのエピトープ糖鎖の密度、分子の大きさ等を考慮した、モデル糖蛋白質を作成して、さらに詳しく研究すれば、天然物アレルギーの原因抗原を、修飾無毒化し、減感作治療用抗原として利用するためのモデルとなるものと期待される。
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