研究概要 |
伊豆半島,伊豆諸島,三浦半島,あるいは宇和海で採集した海綿100検体から、メタノール熱浸,溶媒分画により脂溶性および水溶性画分を調製し、それぞれについてイトマキヒトデ受精卵に対する影響を調べた。その結果、脂溶性画分の20検体,水溶性画分の23検体,合計31検体に活性が認められた。これらの多くは、卵割阻害様式から、細胞骨格系に作用すると思われた。さらに、活性検体についてP388またはL1210白血病細胞に対する細胞毒性を調べたところ、6種が有望なことがわかった。 次に、有望な2種から活性物質の単離と構造の解明を試みた。まず、宇和海産のFasciospongia sp,をエタノールで抽出,溶媒分画,高速液体クロマトグラフィーなどで、OkinonellinA(1)およびB(2)と命名した2つの活性物質を得た。両物質とも5μg/mlでヒトデ胚の発生を抑えた。細胞骨格系に作用すると思われた。これらの構造は、2次元NMRなど最新の手法を用いて決定した。同様に、伊豆半島産のSpongionella sp.から、2μg/mlで活性を示すSpongionellin(3)とdehydrospongionellin(4)を単離し、構造を決めることができた。
|