研究概要 |
玄米ともみの連続分離に採用されている揺動選別機の選別性能に及ぼす混入異種穀粒の物理的性質及び選別板の表面構造の影響について研究を行った。玄米に混入する異種穀粒としてはもみ,大麦,小麦,裸麦を採用し、各種揺動条件のもとで選別板上での玄米等比率曲線,及び玄米回収率を求めた。これらの結果から、1.揺動選別機の選別板上で玄米と混入異種穀粒の分離を効率よく行わせるためには、揺動数,選別板傾斜角及び混合米供給速度の組み合わせにより、板上に穀粒が均一に広がる条件を選定する必要がある。 2.選別板の横方向の寸法は板上での穀粒の流れ模様に着目し、玄米等比率曲線が平衡状態に到達する位置で決定できる。実際の長さはこれに操作中におこり得る諸変動に対応する長さを加算すればよい。 3.混入異種穀粒の物理的性質のうち、分離に対する最も大きな要因は穀粒の粒径である。小麦及び裸麦は玄米と物理的性質が非常に類似しているので、ふるい分け,唐箕,気流選別機など他の選別機による方法では分離が非常に難しいが、揺動選別法では微小であっても粒径に差があれば効率よく分離できることが実験的に確認できた。 4.穀粒の代表径としては等体積球相当径を採用するのが適当である。 5.選別板の表面構造の差異による穀粒分離特性を玄米等比率曲線及び製品取り出し口における玄米回収率の両面から検討した結果、選別板表面構造としては、玄米粒子(製品穀粒)がはまりこみ、玄米粒子を捕捉できるくぼみを持ち、揺動時に効率よく投てきできる構造を持つものが最も望ましい。 6.選別板の揺動数は穀粒の分離平衡状態へ到達する時間を決定する。揺動数大のときは選別板上の玄米100%領域は狭いが、穀粒は早く分離平衡状態に到達する。即ち小さな選別板で十分である。揺動数小のときは玄米100%の領域は広いが穀粒が分離平衡状態に到達するのに長時間を必要とする。即ち大きい選別板が必要となる。
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