研究概要 |
1.研究目的 蒸散作用が激しい農産物の高湿度冷蔵法を実用化するため、まずジャケット冷蔵方式の加湿・制御方式ならびに新換気方式を開発し、次に従来1月半しか冷蔵できなかったクリ果実の長期冷蔵実験を試みるとともに高湿度冷蔵機構の解明を行う。なお、この研究は従来のジャケット冷蔵方式の概念を変えるほどに発展した。そこで本方式を二元調湿換気式(ラッパー式)冷蔵倉庫と命名した。 2.研究計画(1)差圧予冷兼用ラッパー式冷蔵倉庫を2室設計製作する。(2)それに産物を濡らす危険の少ない超音波加湿器を取り付け、加湿方法と制御条件を見出す。(3)また顕熱および全熱交換型換気扇を設け、二元調湿換気方式の最適操作条件を見出す。(4)クリ果実のカビ菌を温水加熱殺菌処理した後、予冷冷蔵実験を行う。この間の品質変化と関連付けて温湿度と換気の総合制御条件を見出す。 3.研究成果(1)試作した冷蔵倉庫は、優れた冷却特性を示した。(2)超音波加湿器の湿度センサーを庫内に設け、全熱交換型換気扇で湿分を供給した結果、ラッパールーム内は高度に安定した高湿度が得られ、クリ果実に結露は見られなかった。(3)クリ果実のカビ菌を殺菌する最適温度は48℃であった。(4)ラッパー式冷蔵PVCフィルム包装区のクリ果実は1年間冷蔵できることが分かった。また無包装でも1年間冷蔵できる見通しが得られれた。このための条件は、ラッパールーム内を0℃、95%R.Hにし熱交換型換気扇を1日に8回、1回当り15分間作動させることであった。 4.研究の考察と展望 本方式は、今後経済性の検討を行って実用化を図れば、農産物貯蔵問題の解決に大きく寄与するものと考えられる。 5.設備,備品の利用状況 換気扇,超音波加湿器,湿度計,データ集録制御装置は有効かつ十分に利用された。
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