研究概要 |
5系統の近交系マウスを用いて、トキソプラズマ(Tp)感染あるいは特異抗原(TLA)刺激により誘発されるインターフェロン(IFN)産生の系統差と宿主抵抗性の関連性について検討した。 1.トキソプラズマ慢性感染マウスにTLAを注射すると、3〜6時間後に最大活性を示すIFN-γが誘発され、C57BL/6NとC3H/HeNはhigh responder,BALB/cAはlow responder系、そしてDBA/2NとA/Jは中間型であった。 2.非感染マウスにTLAあるいは生原虫を接種した場合には、24〜36時間後に最大活性を示すIFN-α/Βが誘発され、その値はC57BL/6NとA/Jで高く、以下C3H/HeN,DBA/2N,BALB/CAの順であった。 3.慢性感染マウスの脾細胞をTLAやmitogensで培養したin vitroの実験系でもIFN-Σが誘発され、C57BL/6NとC3H/HeNはhigh producers,BALB/cAはlow producerであった。 4.正常およびTp慢性感染マウスにTpを感染させ、累積死亡率と平均生残日数を基準にして、Tpの初感染および再感染に対する感受性の差違について検討すると、C57BL/6NとC3H/Henはともに初感染・再感染に対し抵抗性であったが、BALB/cAやDBA/2Nは感受性系統であることが明らかにされた。 以上のことから、Tp感染およびTLA刺激によって誘発されるIFN産生には系統差が存在すること、また同様に、Tp感染に対する近交系マウスの抵抗性においても系統差のあることが明らかにされた。すなわち、IFN産生のhigh responder系統はlow responder系統のマウスに比較して統計的に有意な抵抗性を示し、宿主のIFN産生能とTpに対する感受性の間には一定の相関関係のあることが明らかになった。
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