研究概要 |
1.ラット赤血球型δ-アミノレブリン酸(ALA)合成酵素の精製とその性質:ラット網状赤血球よりALA合成酵素を活性を有する限定分解産物として精製した。すなわち、溶血液から硫安分画、パパイン消化、ゲル濾過、ヒドロキシアパタイトおよびQセファロースカラムクロマトグラドフィー、次いてCoA-アガロースによるアフィニティークロマトグラフィーを行い精製した。なお、精製過程ではヘモグロビンの凝集を防ぐため界面活性剤の添加が必須であった。最終標品はSDSゲル電気永動上ほぼ均一で、その分子量は49,000であった。(肝酵素では51,000)。肝酵素と比べ、スクシニルCoAに対するKmがやや低く、またスクシニルCoAによる基質阻害もみられない。しかし、グリシンに対するKmや最適DHには差がなく、ヘムによる阻害も認められた。 2.肝,網状赤血球およびその他の組織のALA合成酵素の免疫化学的比較:オクタロニー法や免疫滴定法で、坑ニワトリ肝ALA合成酵素坑体はニワトリ赤血球型酵素並びにラット肝型酵素と部分交叉反応を示すが、坑ラット肝ALA合成酵素坑体はラット赤血球型酵素ともニワトリ両型酵素とも交叉反応を示さないことが確かめられた。Western blot analysisでは、ラット赤血球型酵素が極めて弱いながら坑ラット肝酵素坑体と反応することが知られた。また、腎およびハーダー腺のALA合成酵素は坑肝酵素坑体によって肝酵素と同一分子量のものとして検出され、両者は肝型であろうと推定された。 3.ニワトリ肝および赤芽球のALA合成酵素cDNAの比較およびmRNAのNorthern blot analysis:ニワトリ肝および赤芽球のλgtllライブラリーより得たALA合成酵素クローンの塩基配列および推定されるアミノ酸配列の比較,肝および赤芽球poly(A)【^+RNA】画分の両型酵素cDNAプローブによるNorthern blotanalysisなどより、肝型および赤血球型ALA合成酵素は別々の遺伝子の産物であることが確められた。
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