研究課題/領域番号 |
60570131
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉山 俊博 (1986) 阪大, 医学部, 講師 (00127242)
山野 俊雄 (1985) 大阪大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 脱ハロゲン化反応 / ハロセン / シトロクロム【b_5】 / シトロクロムP-450 / 劇症肝炎 / ラジカル / ジブロムエタン |
研究概要 |
昭和60年度は、精製したフェノバルビタール(PB)誘導性シトクロムP-450(P-【450_(PB)】),NADPH-シトクロムP-450還元酵素(【Fp_2】),およびシトクロム【b_5】(【b_5】)からなる再構成系でジブロムエタンの脱ブロム反応を遊離されたブロムイオン濃度をブロム電極で連続的に測定して検討した。ジブロムエタンの脱ブロム反応はリン脂質(DLPC)の添加により反応速度の上昇を認め、P-【450_(PB)】1μMに対し、DLPC400μMで最高となった。さらに【b_5】添加により脱ブロム反応の促進効果を認めた。【b_5】の有無にかかわらずジブロムエタン脱ブロム反応速度はP-【450_(PB)】と【Fp_2】ともモル比が約1:1で最高に達した。嫌気的条件では好気的条件に比し脱ブロム反応は約45%と小さかった。以上の結果、ジブロムエタンの脱ブロム化反応がP-【450_(PB)】により触媒され、【b_5】が本反応に関与していることが示された。 昭和61年度において、ハロセンの還元的代謝産物に対する【b_5】の影響について検討した。ハロセンの代謝産物として、1電子還元的産物である【CH_2】Cl-【CF_3】(CTE)と2電子還元的産物であるCHCl=【CF_2】(CDE)が知られている。invivoで、肝の【b_5】含有量を特異的に増大させたラットにハロセン吸入麻酔を行い血中の代謝産物を測定した結果、CDE/CTEが対照群より高値であった。またinvitrvの再構成系でも【b_5】の添加によりCDE/CTEの値は増加した。以上の結果、【b_5】はP-450に第2電子を効率よく供給することによりCDEの生成を促進するのであろうと推察した。 有機ハロゲン化合物による劇症肝炎の発症機構は未だ不明な点も多いが、その原因の一つにP-450酵素系による還元的脱ハロゲン化反応過程で生成したラジカル中間体が生体高分子と共有結合したり、脂質過酸化反応を惹起したりして肝毒性を発揮すると思われる。本研究によってそのメカニズムが明らかになり、肝炎の予防への道も開けた。
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