研究概要 |
Sj【o!‥】gren症候群の耳下腺の組織学的特徴であるepimyoepithelial island(EMEI)及び未分化癌について検索し以下の結果を得た。 1)、EMEIは大部分、導管上皮類似の細胞と扁平上皮細胞への分化を示す細胞及びわずかの筋上皮細胞から成ることが判った。 2).本症候群80例の内、10数例にEMEIの内腔の消失と異形細胞から成る病変(dysplastic change)を認めた。この変化は腫瘍発生に関係することが示唆された。 3).ヒト胎児耳下腺10例を連続切片で検索した結果、介在部導管から線状部導管にかけてリンパ球浸潤の存在することが判った。 4).本症候群から発生すると考えられる耳下腺原発の末分化癌20例を組織学的に検索した結果、小細胞型と大細胞型に分類出来、その内の3例にEMEIから発生したと考えられる未分化癌を認めた。5).大細胞型未分化癌は耳下腺原発の腺癌と何らかの関係があり、これを明らかにするために、20例の腺癌を対称に組織学的に検索し、きわめて夛彩な像を示すことが判った。 6).大細胞型未分化癌は電顕的に検索した結果、その夛くが腺癌のvariantであることが判った。 7).小細胞型未分化癌の間質には著明なリンパ球浸潤があり、この様な症例は本症候群から発生する未分化癌と関連性を有することが判った。 8).本症候群から発生する未分化癌は電顕的に筋上皮細胞由来か扁平上皮細胞由来であることが判った。 9).ヒト子宮より家兎を使用して抗ミオシン抗体を作成した。これは筋上皮細胞を特異的に染め出すことを螢光抗体法を用いて確めた。 10).EMEI周囲のリンパ球及び本症候群から発生した未分化癌にみられるリンパ球はB細胞由来でIgA,Gを産生する細胞であることが判った。このB細胞と上皮細胞の免疫応答が本症候群からの癌発生に何らかの関連性のあることが判った。
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