研究課題/領域番号 |
60570175
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤田 紘一郎 長崎大, 医学部, 教授 (90053107)
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研究分担者 |
月舘 説子 長崎大学, 医学部, 助手 (40121256)
堀井 洋一郎 長崎大学, 医学部, 助手 (80173623)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | フィラリア / 糞線虫感染 / ATL / helper T細胞 / IL-2 |
研究概要 |
成人T細胞白血病(ATL)は、南日本とくに九州南部や南西諸島に集中して見られる白血病で、レトロウイルス(ATLV)によって引き起こされる。このATLの地理的発生分布が、25年前に実施されたフィラリア感染者の陽性率の分布と全く重なるという知見と、糞線虫感染者の間には高率にATLV保有者が存在するという事実により、我々は両線虫感染とATLVの増殖との間に何らかの関連があるのではないかと考えるに至った。 そこで我々は、旧フィラリア流行地として長崎県五島の2部落、鹿児島県喜界島および沖永良部島、現在の糞線虫流行地として沖縄県豊城村および喜界島、沖永良部島、また、異形吸虫流行地として熊本県津奈木町などをそれぞれ選び、住民検診を行い、得られた血清についてATLV感染の有無、フィラリアおよび糞線虫抗体価などを測定し、糞便については糞線虫や異形吸虫などの寄生虫感染の有無を調べた。その結果、次のようなことが明らかにされた。 すなわち、フィラリアや糞線虫感染は確かにATLVのヒトhelper T細胞への感染や増殖に影響を与えていること、それに反して異形吸虫感染は全く影響を及ぼさないことが判明した。フィラリア感染は宿主のhelper T細胞を減少させ、逆にsuppressor T細胞を増加して、結果的に宿主の細胞性免疫能を低下させること、糞線虫の持続感染はリンパ球の機能的疲弊をもたらし、また、リンパ球のIL-2産生能を増強することなどがわかった。そこで、フィラリアや糞線虫感染がATLVの増殖のどこに働くかを考察すると、たぶん両感染は、ATLVの感染を受けた健常者がATLVの健常キャリアーになる段階までにrisk factorとして働き、ATLVの感染をよりスムーズに進行させる役割を果たしているものと思われる。
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