研究概要 |
沖縄県の一離島(水納島)で, 主として捕食性の蚊オオカTx.solendens(フィリピン産)を用いて有害蚊の総合防除を試みた. 放逐実験にさきだちオオカの生態を熟知し計画的にオオカを大量に生産できるようにする必要があり, 室内で種々の実験を試みた. その結果, オオカ幼虫の大量飼育は手間がかからず, 広い飼育場所を必要としない集団飼育が適当で, 1飼育容器当りの幼虫数は100〜150個体が適当で, 70%の羽化率を得ることが可能で, 産卵は羽化後10日以内にさせた方が高率が良いことがわかった. 1985年放逐前の調査で, 6月上旬にはすでに多数の蚊(主に人工容器に発生するヒトスジシマカ, ネッタイイエカ, カクイカなど)が発生していることがわかったので, オオカ放逐は有害蚊が発生し始める4月中旬から5月にかけてが適当な時期であることがわかった. 本島の人家周辺地域と人家近くのモクマモウ林内にモニタリング用黒色プラスチック容器を1986年には100個, 1987年には58個設置し, オオカ放逐は, 1986年には4月から8月の間に6回, 1987年には4月から11月までに8回行い, トラップ中のオオカ幼虫と有害蚊の発生数を種類別に調べた. 1回当たりの平均放逐数は1986年は雌488, 雄480, 1987年は雌255, 雄204個体であった. 1986年は多数のオオカを短期間に放逐し, 1987年は少数のオオカを長期間にわたり, 1ヵ月に1回の割合で放逐を続けた結果, 有害蚊の発生を抑えるかめには, 多数のオオカを短期間に放逐するより, 少数のオオカを長期間にわたって放逐することが効果的であることがわかった. 本島でのグッピーの利用は, 有害蚊の発生源が主に人工容器に限られ有効でなく, 幼若ホルモン類似本物質メトプレンについては主に実験室内で野外の状態を想定し, その結果を調べると小容器に発生する有害蚊の駆除に有効であるということがわかったが, 野外実験については十分な試みはなされなかった.
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