研究概要 |
得られた成果は以下の通りである. (1)R.tsutsugamushi(Rt)の各株間の構成蛋白をアクリルアミドゲル電気泳動により比較し, 各株に特徴的な差異や類似性を明かにした. また^<125>Iラベル法その他により, 表在性蛋白を同定した. さらに表在性蛋白の54-56K, 28K及び25K蛋白がheat modifiabilityを示すことを明かにした. (2)各株に対するモルモット抗血清を用いたImmunoblottingにより, 54-56K蛋白は株(型)特異抗原で, 46K及び70K蛋白が群特異抗原であることを明かにした. またRtのGilliam(G), Karp(KP), Kato(KT)株に対する株特異的モルクロナル抗体を作製し, これがホモの株の54-56K蛋白とのみ反応することから, この蛋白が株(型)特異抗原であることを確認した. (3)患者及び自然界から採取したツツガムシの幼虫よりRtを分離し, その株特異的モノクロナル抗体との反応性から, 従来のG型, KP型, KT型以外のnonG-KP-KT型のRtの存在を明らかにした. (4)nonG-KP-KT型のRtはいずれもマウスを発症させない弱毒株であることが判明した. (5)Immunoblotting法による患者血清とRt抗原との反応性から, 大部分の血清中には54-56K蛋白と反応する抗体が認められたが, 個々の蛋白との反応性は個々の血清で極めて多様性を示すことが判明した. (6)精製Rt中にはペプチドグリカン(PG)やリポ多糖(LPS)の構成成分であるムラミン酸, グルコサミン, ヘプトース, KDOなどが検出されず, RtはPGやLPSを欠落していることが判明した. (7)型特異抗原である54-56K蛋白の精製に成功し, アミノ酸組成やN末端のアミノ酸配列の株間の異同を明かにした. (8)リケッチアを保有するツツガムシの親虫が産卵した卵中の胚を電子顕微鏡で観察して, Rtは親虫から幼虫に卵を介して伝達されること, Rtは胚の発育と伴に増殖することを明らかにした. (9)近年患者から分離した株と従来の株との抗生物質感受性には大差がないことを明かにした.
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