研究概要 |
愛媛県五十崎町で昭和31・32(1次), 45・46(2次), 59・60(3次)年に栄養調査を実施した. 摂取した食品を37食品群に分類し, それらの食品群を用いて主因子法により食構造の解析を行った. 食生活の30年の推移:主食習慣因子は変わりがなく, 米の消費が主体となっていた. 1次では大麦の消費が多く, 3次ではパンが増えていた. 2次は米にかなり偏っており, 米の自給が増えたことなどが一因と思われる. 副食習慣因子は7次, 2次, 3次と小さくなり, 調査年次ごとに大豆に対して肉類の消費割合が高くなり, かつ栄養的には動蛋比が高くなっている. 副食多食因子は1次, 2次, 3次と大きくなり, 調査年次ごとに副食が増加の傾向を示した. 個人所得の伸びに依ること大きいであろう. 貧血:過去2回の栄養調査を行ったにもかかわらず, 昭和59, 60年の調査では女子の貧血の割合(女子33.6%)が高く, 栄養の不足が原因の1つである人達も一部にはあったが, 生活活動の高いグループに貧血者の割合が高い傾向がみられた. 貧血への指導には食生活のみでなく生活活動についても指導する必要があろう. 高血圧:血圧値をあげる要因として, 従来から言われている年齢・肥満が男子女子共に大きな因子であることがわかった. 肥満について食生活面から解析した. 男子のみに副食多食因子が肥満者に高く食べ過ぎの傾向がみられた. 栄養素の充足度は肥満者の方が正常者よりも高い傾向にあった. 他の地域への応用:五十崎町で得た食物構造因子を物差とし大洲市内子町, 北条市の地域間の違いを解析した. この4地域での食生活は大洲市がパン食への偏りが大きく異質の感がある. 内子町, 五十崎町, 北条市は主食習慣が同じであり, おかずの量および質に違いが見られる. 20歳未満者の食構造:新しい食物消費の型を形成しているものと考えて今後の解析を行うべきであろう.
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