研究課題/領域番号 |
60570242
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石西 伸 (1986) 九大, 医学部, 教授 (80037340)
稲益 建夫 (1985) 九州大学, 医学部, 講師
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研究分担者 |
平田 美由紀 九州大学, 医学部, 助手 (30156674)
山本 昭代 九州大学, 医学部, 助手 (10136484)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1985年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 尿の変異原性 / Ames test / 喫煙 / シリカゲルカラムクロマトグラフィー |
研究概要 |
我々は、本研究において一般人の尿の変異原性レベルを把握することと、喫煙習慣との関係を明らかにすることを目的とし、今回多数の青年男子の尿についてその変異原性を調べた。又、喫煙者の尿中に排泄されてくる変異原物質を分離、固定するための予備試験的検討を行ったので報告する。 (1)一般健康青年男子の尿の変異原性・九州大学医学部の男子学生から得られた尿を検体とし、XAD-2樹脂による吸着濃縮後、ジクロルメタンによって溶出されるものについて変異原性を調べた。変異原性の試験法はS9による代謝活性化条件下でのTA98に対して、Amesの標準法に基づき行った。喫煙者61名の変異原性の平均は、152±108revertants/100ml urineを示し、一方、非喫煙者107名のそれは83±61であり喫煙者尿の変異原性が統計的に有意に、高いことが明らかになった。そこで、喫煙者の尿の変異原性と喫煙本数との関係を統計学的に解析したところ、危険率1%以下で有意な正の相関関係にあることがわかった。 (2)喫煙者の尿中変異原物質の分離:タバコタール及び同一のタバコを喫煙した男性からの尿濃縮物を、シリカゲルカラムに層積後、n-ヘキサン、DCM、メタノールの順で溶出し、分画分取試料について変異原試験を行った。その結果、喫煙者の尿中に排泄されてくる特徴的変異原物質はメタノール分画に存在し、タバコタールについても、同一分画に変異原性が認められ、タバコの変異原物質が一部未変化体のまま尿中に排泄されるようである。 本研究によって明らかにされた、喫煙者の尿に高い変異原性が検出されること、その変異原性は喫煙本数と有意な相関関係にあることは、肺癌のみならず、膀胱癌の原因を研究する際、興味ある知見を提供するものであろう。又、尿中変異原物質の分離については、今後、HPLC等を用いて更に検討する予定である。
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