研究課題/領域番号 |
60570252
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公衆衛生学
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
鏡森 定信 富山医薬大, 医学部, 助教授 (20019615)
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研究分担者 |
北田 実男 大阪府立成人病センター, 集検部, 部長
成瀬 優知 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (30135008)
KITADA Jitsuo Ohsaka Adult Disease Center , Director
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
500千円 (直接経費: 500千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 先天性心疾患 / 末梢血リンパ球 / 姉妹染色分体交換 / 小核試験 / ファテリシン / ニドラン / 妊娠実験 / マウス胎仔肝 |
研究概要 |
末梢血リンパ球の姉妹染色分体交換(SCE)および小核(MN)は、間接的ではあるが、染色体損傷の鋭敏な指標とされている。先天性心疾患の患児では、対照児に比較して、末梢血リンパ球のSCE MNいずれの頻度も統計的に有意に増加していた。しかし、患児の心奇形の病型やジギタリス服用の有無は、それらの頻度に影響しないようであった。一方、患児の母親のSCE頻度もまた、対照とした経産婦群に比較して統計的に有意に増加していた。先天性心疾患患児およびその母親において、既知の染色体損傷物質の暴露が、対照群に比較して特別夛かったとは考えられなかったので、患児とその母親では、何らかの遺伝的背景のもとに、生活環境下でのありふれた因子により、SCEがMNの頻度の増加をみるにいたったという可能性が示唆された。動物実験の成績から、心奇形を誘発することがわかっているファテリシンとニドラン、また疫学的に心奇形発生の環境因子とされる塩化リチウムや抗てんがん剤(トリメサディオン)などがIn vitroの暴露実験により、末梢血リンパ球の染色体損傷を濃度依存的に増加させたことは、心奇形と染色体損傷の関連を支持する成績であった。 ファテリシンを妊娠マウスに投与し、胎仔のMN頻度を肝の夛染性赤血球で観察したところ、濃度依存的にその頻度が増加した。しかし、心奇形を誘発しないコルチコステロンを使っての同様の実験では、そのような成績を得ることはできなかった。 以上、先天性心疾患の発生要因を細胞遺伝学的な見地から検討したところ、心奇形誘発物質が染色体損傷という現象をまきこみつつ、先天性心奇形の発生に関与している可能性が指摘された。またSCEやMNといった細胞遺伝学的指標は、心奇形発生要因の検索にとって有用な指標のひとつになりうるものと思われた。
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