研究概要 |
大気汚染質への曝露がモルモットの実験喘息の惹起に及ぼす影響については、被感作動物への抗原チャレンジ後すみやかに起るいわゆる即時型喘息の惹起およびその強度を促進することは、既に筆者らの研究によって明らかとなっているので、この研究においてはその遅発性反応(LAR)に及ぼす影響についての研究を目的とした。 実験喘息における遅発生反応については、その重要性,実際的意義が大きいことが指摘されているが、その実験的手段,特に40時間以上に及ぶ被験動物の呼吸状況の確実な把握が難しいこともあって全く手がつけられていないのが実際であった。 本研究では、先づこの遅発性反応の確実な捕捉法の開発より開始し、動物をボディプレチスモに入れ、これを呼吸状況の検出系として、その出力を増幅し、これをA/D変換によって数値化(digital化)し、これをハード・ディスクに貯え、後にこのデーターを読み出してこれを数値解析するソフトを開発した。 このシステムによって、長時間(40時間以上)にわたる呼吸の状況を、その呼吸数,呼吸気比(呼出延長又は吸気延長の強度),呼吸振幅の低振幅化の程度,パワー・スペクトラム(フーリェ解析),呼吸パターン値の算出などの指標について表現,図示できるようにした。 このシステムを利用して、卵白アルブミン抗原およびカンジダ抗原による遅延型反応の惹起およびその検出記録に成功したので、これに【NO_2】負荷(0.5ppm×24hours×4days)を行った場合について検討し、【NO_2】負荷群について、呼吸曲線パターン値の上昇,呼吸数の増加,呼吸気比の上昇(呼出延長),呼吸の低振幅化が起ることを認め、【NO_2】曝露がモルモットの遅発性喘息をも促進することを認めた。
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