研究分担者 |
大崎 絋一 岡山大学, 工学部生産管理教室, 教授 (60032942)
田中 由紀子 岡山大学, 医学部公衆衛生学教室, 助手 (40163589)
松田 昭 岡山大学, 医学部公衆衛生学教室, 助手 (60173837)
目黒 忠道 岡山大学, 医学部公衆衛生学教室, 講師 (70093713)
吉良 尚平 岡山大学, 医学部公衆衛生学教室, 講師 (50033212)
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研究概要 |
1.塗装作業場で、有機用ガスバッジを用いて作業者の有機溶剤(トルエン,メタキシレン,三塩化エチレン,フェノール)の個人暴露濃度の測定を行い同時に作業者の尿中代謝産物濃度を測定した。その成績より有機溶剤の気中濃度と尿中代謝産物濃度との回帰直線を求め、その信頼限界を算出した。尿中馬尿酸(トルエン代謝物),メチル馬尿酸(メタキジレン代謝物),総三塩化物(三塩化エチレン代謝物),フェノール抱合物のフェノール換算値(フェノール代謝物)の各有機溶剤のTLV相当値及びTLVスクリーニングレベル(括弧内)は、各々2.35g/g creat.(1.75g/g creat),2.05(1.38),0.334(0.149),0.251(0.18)であると算出された。 2.正常尿に尿中代謝産物が存在する溶剤に関しては、これらの回帰直線とデータの95%信頼限界から、有機溶剤の暴露・非暴露の判別可能限界濃度について検討した。その限界濃度は馬尿酸よりはトルエン45ppm,フェノール抱合体よりはフェノール2.3ppmと算出された。 3.スポット尿の代謝産物濃度の補正方法として、未補正(実測値)比重補正値時間排泄量,クレアチニン補正値のうち、どれが最も適切かを気中有機溶剤濃度と尿中代謝産物濃度の相関係数から検討した。その結果クレアチニン補正値は(1)同濃度暴露作業者間の尿中代謝産物濃度の変動(標準偏差)が小さい。(2)フェノール濃度と尿中抱合物中フェノール濃度との相関係数が未補正値より高い。(3)尿のろ紙保存の場合にも補正が可能であるという長所が認められた。 4.「1984-1985」年のACGIH勧告以外の有機溶剤として、,1986-1987年の生物学的暴露指標決定理由者を邦訳し、その記載の溶剤を含めてベンゼン,n-ヘキサン等について文献的考察を行い、TLVに相当する代謝産物濃度の検討を行った。 5.尿中代謝産物の保存法として、溶液では-20℃の凍結保存法、及びろ紙にspot後の乾燥保存法で少なくとも7日間は保存可能であることが認められた。
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