研究概要 |
1.ACTH-Z治療により、小児難治性てんかん患児の髄液中homovanillic acid(HVA)および5-HIAA値が、共に低下した。髄液中カテコラミン値の有意な変化は認めなかった。ACTH-Z投与により、Tyrosine→DOPA→Dopamine→HVAの代謝経路が抑制される可能性が示唆される。 2.ACTH-Z250μgを7日間ラット腹腔内投与した結果、大脳皮質のbenzo-diazepine受容体密度(Bmax)が対照群に比し、有意に低下した。親和性Kdは有意な変化を認めなかった。一方ラット小脳では、Bmax,Kd共に変化を認めなかった。ACTH-Z投与により、ACTH-Zそのものあるいは副腎皮質ホルモンを介して、benzodiazepine受容体に作用すると考えられる内因性リガンドの動員の可能性が示唆される。またbenzodiazepine受容体とGABA受容体の関連性から、GABA作動性ニューロンへの影響も推察される。 3.GABA-Transaminase(GABA-T)を指標にして、ACTH-ZのGABA作動性ニューロンへの影響を組織化学的に検討した。その結果、ACTH-Z投与ラットでは、対照群に比しGABA-T再合成が促進されることが判明した。これは痊摩抑制機構に直接関与するGABA作動性ニューロンに、ACTH-Zが影響をおよぼす可能性を示唆している。 4.ACTH-Zのラット脳内カテコラミン,セロトニンへの影響を、カテコラミン蛍光法,抗セロトニン抗体を用いたPAD法により、組織化学的手法を用いて検討した。その結果、正常対照ラット比し、ACTH-Z投与ラット(100μg,5日間筋注)では、大脳皮質、扁桃核のカテコラミン蛍光強度が、やや増〓する傾向を認めた。カテコラミン線維の分布等、形態学的には有意差を認めなかった。脳内セロトニン含有神経に関しては、ACTH-Z投与群,対照群の間に、染色性,分布,形態等において、免疫組識形態学的に、差異は認められなかった。
|