研究概要 |
本研究はアフィニティクロマト原理応用によりSLEの直接的病因関連物質である抗DNA抗体を特異的に除去し, 再びこれを患者に返す方法を開発, その臨床応用を目的としたものである. まず本研究の基礎となるDNA結合支持体に関して各種合成樹脂, 繊維などにDNAを結合させ, 抗DNA抗体の吸着能, 抗原抗体支持体の安定性等を検索, DNAとポリビニルアルコールの水溶液にガーゼをひたしグロー放電を行ったもの(DNA-PVAグロー放電ガーゼ)が最も利用価値が高いとの結論を得, 以后の実験に使用した. 目的1のDNA-PVAグロー放電ガーゼの影響に関してはpH, Alb, glb, IgG, IgA, IgM, CH_<50>, C_3, C_4, C_5に変動なく, Immune complexのみ低下がみられた. 目的2のDNA-PVAグロー放電ガーゼと血漿の量, 反応時間の検討では, 抗体価の減少はガーゼ量に比例, 実験的カラムシステムで50ml余りの30〜40unit抗DNA抗体価をほぼ正常域まで低下させ, その后も抗体価を50%程度低下させる事が可能との結果を得た. 目的3の動物実験では, モデル動物としてNZB/WF1マウス♀が本実験に最適と考え使用, 抗DNA抗体自然発生以前の3.5ヶ月令マウスに週1回DNA-PVAグロー放電ガーゼを使用した免疫吸着を施行, その結果コントロール群に比し抗dsDNA抗体(IgG)の低下がみられ, 高度蛋白尿出現の遅れ, 死亡時期の遅れがみられた. 又, 腎炎発症后の生后8ヶ月から同様の免疫吸着を施行した群では吸着后にリバウンドがみられるものの抗dsDNA抗体価は着実に低下, 施行終了后抗体価は上昇したが1ヶ月后においてもその値は未施行群に比し低いとの結果を得た. 以上の結果より本法が抗DNA抗体の除去しいては腎炎発症阻止にも有効である事が強く示唆され, 今后の臨床応用に近づいたといえよう.
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