研究概要 |
肺画像診断に関する2年間の研究成果を形態と機能の2つの観点から要約する。 1.形態的側面 肺疾患のX線診断は特にびまん性病変において行き詰りの状態であったが、X線CTの導入によってこの数年で大きく前進した。特にX線CT像と肺標本との比較検討により病変の場と進展様式に関しての知識が深まった。最も注目される既存構造が肺の2次小葉である。小葉内でも病変の多い構造として知られるのが小葉中心部の終末ないし呼吸細気管支で、じん肺,過敏性肺臓炎,びまん性汎細気管支炎,結核症,気管支肺炎などがそれらを中心とする結節性病巣を形成する。これらはCT上胸膜ないし肺静脈から2〜3mm離れた結節影として認識された。さらに復数の小葉がびまん性に侵されるのが各種細菌性肺炎,間質性肺炎,肺浮腫,肺出血で見られた。それらのCT像は直線的な病変の辺縁に特徴があった。今後肺CTの普及により肺小葉との関連で種々のびまん性病変が見直されると予想される。 2.機能的側面 肺の換気障害を診断するのに従来より【^(133)Xe】を用いたシンチグラフィーが利用される。しかし空間分解能の低さから局所診断法としては限界があった。【^(13)N】を用いたポジトロンCTによって始めて肺の換気を断層像として捉えることが可能となった。閉塞性障害のなかでも特に興味ある所見を示したのがびまん性汎細気管支炎である。本症では肺の外層が内層に比べて強い閉塞性障害を示した。同じ部位のX線CTによる計測では著しい含気量の増大が見られポジトロンCTによる観察と良く対応した。 以上肺の画像診断は両CTの応用により大きく前進したと結論される。
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