研究分担者 |
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80174308)
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (40135380)
KAMBE Fukushi The Research Institute of Environmental Medicine, Nagoya University (00211871)
SUEDA Kaori The Department of Home-economics, Nagoya Women's University
OGAWA Katsuhito Internal Medicine, National Toyohashi Hospital
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研究概要 |
血漿中でグルココルチコイドと特異的に結合し, その作用発現や代謝に重要な役割を果たすトランスコルチン(Tr)の生合成過程, 遺伝子構造を明らかにし, ホルモンの結合蛋白の意義の解明に資することを目的とした. (1)ヒトTr(hTr)の合成過程に関する研究 ヒト肝組織によりRNAを抽出し, 無細胞翻訳系で翻訳して得たpre-transcortinは約45,700daltonで, cortisol結合能をもつことが明らかになった. ヒト肝癌由来の細胞系Hep G2をパルスラベル後チェイスし, 細胞, 培養液中へのTrの生成を観察し, 56kdとして作られたTrが, 分泌の段階で69kdになることが明らかになった. 糖蛋白のglycosylationの阻害剤であるTunicamycinを加えると, 細胞内及び培養液のTrがいずれも40Kdになる. 即ちTrは40kdのペプチドとして合成された後2段階のglycosylationを受けること, 又glycosylationはTrの分泌に必須でないことが明らかになった. (2)hTr-mRNAのcDNAのクローニング Hep G2のmRNAを抽出, 精製してcDNA libraryを作製し, 大腸菌をトランスフォームし, 約5,000個のコロニーを得たが, Trの陽性コロニーが得られなかった. バクテリオファージ入gtllに組み込まれたヒト肝細胞の遺伝子発現cDNA libraryを用い宿主菌に感染させ, 4個のTr陽性コロニーを得た. その中の1個の核酸配列は報告されたhTr^-cDNAに合致せず, 現在他の3個について検討中である. (3)hTrの簡易測定法と生理作用に関する検討 抗hTr血清のlgG分画をブレートにコートし, 簡便なRIAが可能になった. 単層培養ラット副腎細胞のACTH刺激に際し, 培養液に加えたhTrはコルチコステロン産生に影響を与えず, ステロイドの分泌に対するTrの作用は否定的であった. (4)ラットTrに関し生化, 生理, 免疫学的な検討を, 霊長類のTrの分子進化学的検討を行った.
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