研究課題/領域番号 |
60570554
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
白川 茂 三重大, 医学部, 教授 (20026850)
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研究分担者 |
小林 透 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (00144246)
北 堅吉 三重大学, 医学部, 助手 (90169847)
田中 公 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20115710)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | IM症候群 / EBウィルス / EBV遺伝子 / 日和見リンパ腫 / 免疫異常・免疫不全 / インターフェロン |
研究概要 |
伝染性単核球症(IM)症候群は通常宿主の免疫学的防御機構により、self-limitingに良好な経過をとるが、宿主に何らかの免疫不全状態がある場合にはEBvirus(EBV)起因性と考えられる日和見リンパ腫(opportunistic lymphoma)の発生をみることが最近注目されている。既往のリンパ網内系腫瘍におけるEBV関連抗体価推移の検索から、retrospectiveに少数例(7/135〓5%)ではあるが、Burkittリンパ腫以外のリンパ系腫瘍のなかにEBV関与の可能性を示唆する症例の存在が考えられた。これらはIM様症状、非特異性リンパ節炎像の先行、starry sky様組織球増生、節外病変など可成り特異的な臨床像を示すものであった。またprospectiveな検索の過程で、約1年半の慢性EBV感染症の経過後、EBNA、EBVgenome陽性のびまん性大細胞型、B細胞性リンパ腫に進展した62才男性の症例に遭遇した。本症例の経過中の免疫学的検討から、患者末梢リンパ球のNK活性およびmitogenによる芽球化反応は正常であったが、通常のIMと異なり、T8(+)、Ia(+)のT細胞の増加を認めず、T8(+)、Ia(-)細胞が増加し、抗体産生系においてもSuppressor T細胞の誘導がIgMクラスを除き認められず、またoutgrowth inhibition assayからEBV特異的cytotoxic T細胞活性は欠如していた。以上から本症例ではEBV特異的cytotoxic T細胞、suppressor T細胞の両者に障害があり、慢性EBV感染さらに悪性リンパ腫すなわちEBV起因性日和見リンパ腫への進展に至ったと推測された。なお本症例は一時期Interferon(α,β)によって腫瘍増殖の抑制がみられたことは、本症の発症機転と関連して興味深い。また本症は家族性に発症するx-linked recessive lymphoproliferative syndrome(XLP)とは免疫異常を異にし、後天性の成人例として貴重な症例と考えられた。現在、さらに他の免疫不全状態に続発したリンパ腫症例の蒐集と解析を計画し、Wiskatt-Aldrich症候群に続発したB細胞リンパ腫、common variable immunodeficiencyに続発したT細胞リンパ腫などを鋭意検討中である。
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