研究概要 |
1.自己免疫性好中球減少症(AIN)の臨床的検討(継続)、(1).AINの病態:咋年度確立したflow cytometeryを用いた免疫蛍光法により測定した好中球自己抗体(好中球反応性IgG,NRIgG)陽性を示したAIN20例の病態について検討した。特発性10例,続発性10例(ITP3,SLE2,シェグレン1,悪性腫瘍の治療後4)。易感染性4例。骨髄では骨髄球以降の著減1例のほかはいずれも分葉核球のみが減少し、CFU-Cは正常ないし増加。骨髄好中球貯留は減少。血清リゾチームは軽度ないし中等度増加。以上の所見は間接的ながら好中球崩壊の亢進を示唆している。末梢血リンパ球の絶対数はしばしば減少、T81T4およびlarge granular lymphocyteはほぼ正常、免疫複合体は13例中3例のみに陽性。(2)慢性特発性好中球減少症との比較:AINに比し、易感染性はさらに低く、骨髄の好中性分葉核球および骨髄好中球貯留の減少はより軽度、血清リゾチームはほぼ正常で、これらの値はAINとの間に有意差を認めたが、他は有意差がなかった。以上から、CINでは好中球寿命の短縮はあってもより軽度で、辺縁プールへの移行や好中球の無効造血などの機序も考えられた。(3)AINの治療成積:副腎皮質ステロイド療法を行った11例全例で有効(3例は一過性)、グロブソン大量療法を行った5例中4例で一過性に有効で、易感染性の目立つ例ではこれらの治療法が適応となる。 2.NRIgG測定の診断的意義:直接法,間接法ともにNRIgG陽性を示す例では、他の抗好中球抗体検出法(凝集試験,好中球傷害試験など)もしばしば陽性で、AINと考えてよいが、直接法のみ陽性は非免疫性好中球減少症でも約25%にみられ、非特異的反応の場合もあり得ると考えられる。 3.NRIgGの性状:AIN14例についてNRIgGのlight chainおよびsubclassを検討したところ、monoclonalityはなく、G3が全例に陽性であった。対応抗原の検討ではNsystem特異性は未だ証明されていない。
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