研究概要 |
十二指腸乳頭部Oddi括約筋の運動観察はこの部位の疾患が機能的なものか否かを鑑別するのに重要である. そこでOddi括約筋の基礎的な運動様式を解明する目的で1)〜3)の研究を行なった. 1)測定装置と観察方法:hydraulic-capillary infusion systemやpresssure catheter transducerの代用に, 持続静注ポンプに動脈血逆流防止弁(Intraflo)を接続したものを使用できる. catheterやsensorの設置経路はPTCD経路を利用することが現在のところ最も好ましいと考えられる. 2)CCK負荷とOddi括約筋運動:CCK-33を0.2〜0.3U/Kg/min持続静脈内投与すると血中CCK濃度は投与開始後8〜10分で30-50pg/mlのピークに達する. 投与開始直後から15分までの間Oddi括約筋運動は振幅ならびに収縮回数が前値の0〜10%まで現象する. 一方胆嚢はこの間強く収縮, 血中CCK濃度が最大値に達した後も収縮は続き, CCK投与後15〜20分で最大収縮を示した. 脂肪製剤の十二指腸内投与でも同様の現象であり, CCKに対するOddi括約筋と胆嚢のreciprocalな反応が胆汁排出の基本的なmechanismであると考えられた. 3)空腹時のOddi括約筋運動:十二指腸の空腹期収縮(MMC)とOddi括約筋運動の関係は, a)phase IでもOddi括約筋には3〜4/minの見られることがある. b)phase IIでは不完全な, phaseIIIでは完全なOddi括約筋運動と十二指腸収縮のlinkageがみられた. a)はOddi括約筋が十二指腸運動とは独立して収縮し得ることを示すものである. さてOddi括約筋運動の観察時期(無作為時あるいは薬剤負荷時)は通常8〜12時間以上の絶食後に行なわれるが, 胃十二指腸の空腹期収縮のうちのどのphaseで観察がなされているか知ることが極めて重要であることが示された. (胃)十二指腸運動の同時記録が必要である.
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