研究課題/領域番号 |
60570644
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胸部外科学
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
野一色 泰晴 岡山大, 医学部, 助手 (60033263)
|
研究分担者 |
森 有一 (株)東レ, 基礎研究所, 主任研究員 (10288003)
|
研究期間 (年度) |
1985 – 1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 人工血管 / 低有孔性人工血管 / 内皮細胞 / 超極細繊維 / ポリエステル繊維 / 新生血管壁 / エクセーヌ |
研究概要 |
内径6mm以上の太い人工血管は広く臨床に用いられているが問題点をもっている。例えば抗血栓性がなくて閉塞しゃすいため、ヘパリンをはじめとする抗凝固療法を併用せざるを得ないが、それによって人工血管布の網目から出血することが多い。従って血液が漏れないよう致密に織られた低有孔人工血管が使用されているが、これは硬くて吻合操作が難しいばかりか、植え込み後内面に形成される新生内膜の治癒が著しく遅延し、血栓形成の原因となっている。このような欠点を解消することをこの度の研究目的とした。方法としては、従来人工血管に用いられているポリエステル繊維(直径約20ミクロン)を超極細繊維(直径3ミクロン以下)に切りかえることによって、新しい性質をもつ人工血管を作成した。超極細繊維は人工皮革用に開発された特殊な繊維であり、いかに致密に織っても布は硬くならない特徴がある。従って新しく作成した人工血管は低有孔性であるにもかかわらず非常にしなやかで、従来の人工血管に比べて1/8の硬さであった。また超極細繊維が極度に柔らかいため互いにからまって切断端がほつれない特徴と、細胞との親和性があって新生内膜の形成が急速でしかも安定しているという従来の人工血管にみられなかった特色をもつことが明らかとなった。その理由としては、新生血管壁を形成する諸細胞が超極細繊維自体に対して親和性をもっていて、それに寄りそうように生育してくるため、新生血管壁形成が促進されることが明らかにされた。この事実は細胞培養においても繊維が細胞より細ければそれに付着しやすいという現象が認められており、それに一致するものであった。また一方、内面を内皮細胞が覆う速度も促進されることが明らかとなって、この度作成した人工血管は従来の低有孔性人工血管のもつ欠点を一気に解消したのみならず生理機能を賦活化できるという新しい人工血管として誕生し、臨床応用への期待が大きい。
|