研究概要 |
プロラクチン産生下垂体腺腫(以下プロラクチノーマ)の中に、種々の治療に抵抗を示す難治性プロラクチノーマの存在が知られるようになったが、病態については未解決の点が多い。血清プロラクチン値と髄液プロラクチン値が解離を示す症例も難治性プロラクチノーマに多く、髄液プロラクチンと血清プロラクチンは性格を異にする可能性が考えられ、本研究を行行った。 1)プロラクチノーマの血清と髄液プロラクチンをNIHから提供されたプロラクチンのRIAキットを用い測定した。【_(125)I】による標識はIodo-gen法によった。ラベル後ウルトロゲルAcA44カラムによるゲル濾過溶出パターンを描き、プロラクチンに3個のピークをみた。キモトリプシノーゲンの分子量に近いLittle型,卵白アルブミンの分子量に近いBig型,void volumeに近いBig-big型であり、その相対的比率は、血清では71%,19%,10%で、髄液プロラクチンでは96%,2%,2%であった。血清プロラクチン値を正常化させる目的でBromocriptineを投与し、プロラクチンの各ピークの変化を検討した結果、血清ではLittle型56%,大分子型は44%でまた髄液プロラクチンではLittle型は72%,大分子型は28%であった。即ちプロラクチンは血清と髄液では分子量構成が異っており、Bromocriptine投与では大分子型プロラクチンが増加した。 2)ウシ卵巣をホモジネートしたのち数回の遠沈をくり返し最終の沈澱物をレセプタとし、ウルトロゲルAcA44を通して得られたフラクションを用いて放射活性を測定し、溶出パターンを描出した。髄液プロラクチンと血清プロラクチンではLittle型プロラクチンにおいてもレセプタ活性が異なることが示唆されたが、詳細は今後の研究を必要とする。
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