研究分担者 |
中川 邦夫 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40092077)
楠見 武徳 筑波大学, 化学系, 講師 (70015882)
小嶋 誠治 筑波大学, 物理系, 講師 (90134204)
井上 幸信 筑波大学, 化学系, 助教授 (00015570)
石坂 昭三 筑波大学, 生物系, 教授 (10062499)
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研究概要 |
(目的)外部エネルギーとポルフィリン系(PD)物質との至適な相互作用の条件を知る事によって難治性脳腫瘍を診療する. (方法)(1)人脳腫瘍例に対するHPD-PDT外照射法の臨床病理学的検討, (2)PD物質と外部エネルギーとの効果的な相互作用を得るための基礎的研究;(2)-(ア)脳血液関門解放法を利用した実験脳腫瘍への光増感剤移行に関する検討, (2)-(イ)外部エネルギーとPD物質との殺腫瘍効果のエネルギー量の検討を行った. (結果)(1)については再発膠芽腫に対するPDT外照射法は, 他治療法に比して有意な効果は得られなかったが再発良性神経膠腫に対しては, 術後28月に於いても局所再発は見られず1つの治療法の可能性が示唆された. 組織学的検索では3〜7mm深さまではPDT外照射効果は時に認められるが, それよりも深部の浸潤性腫瘍に対してはPDT外照射法の限界を示していた. (2)については, 20%マニトールを使って脳血液関門を開放し, HPDを内頚動脈内に注入する方法はHPD濃度を積極的に腫瘍末梢部まで高めさせ, 投与量も従来の静脈内投与法の1/10である事から, 副作用の日光過敏症の発生が抑えられ, 今後有効な投与法と思われる. 腫瘍組織内にfiber tipを刺入しdyeレーザーによるHPD-POF内照射と電磁波を併用する事により約87%の抗腫瘍効果が得られ, 今後充実性腫瘍の治療法の1つとして期待された. しかしtipの位置によって正常脳傷害も時として発生した. (今後の問題点)悪性脳腫瘍診療に対して外部エネルギーとPD物質の相互作用をより効果的に得るには, 画像診断装置等を使って腫瘍内の照射エネルギー線量のdosimetryの確認方法, 診断即治療のシステム化, 電磁波による加温法の適応時期や電磁波内照射加温法, HPD以外の薬剤として, Rhodamine 123, Phthalocyanine a Photochemical effectの検討, Facoxan, Photoporphyrin Geの生体内溶解性の検討がなされるべきである.
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