研究概要 |
ラット実験神経膠腫細胞【C_6】株を径3cmのシャーレ(LAX)内にて培養を行った。培養条件としてRPMI-1640培地を用い、これに20%仔朱血清(GIBCO)を添加し37℃下に炭酸ガス培養器内(5%【Co_2】/95%a:r)にて培養を行った。ヘリウムネオンレーザー光源はTEMoo単一横モード光をレンズにて直径10μm(マイクロン)光束に収束させ使用した。このレーザー光束(以下He-Ne)を連続的に培養神経膠腫細胞に培養神経腫細胞に照射することにより(10,30,60分)、核内DNA合成能に及ぼす影響に関し評価検討を行った。He-Ne照射時間は0分(対照群)、10,30,及び60分とした。照射はシャーレ中央に反射鏡を介し直上よりの照射を行った。なお、本照射法によると単層培養表面上でレイリー散乱が生じ、概ね直径1cmの範囲に照射が及ぶことが明らかとなった。【C_6】細胞を72(96)時間まで細胞核内DNA量の相対的定量をフローサイトメトリー(以下FCM)にて経時的に追跡を行った。そして生長解析により腫瘍細胞群の中でDNA合成期にある細胞群の全細胞群に対する割合を算走した。対照群の【C_6】細胞群のS期(DNA合成期)細胞群の割合は、18%,32%,25%,28%(それぞれ0,24,48,72時間目)と変化した。一方He-Ne光照射群は30分照射の場合、15%,17%,20%(各々、0,24,48時間)と化した。60分間照射の場合、17%,10%,6%(各々、0,24,48時間)と変化した。上記結果より、He-Ne照射によりS期細胞群の有意な減少、ひいては有意な腫瘍細胞DNA合成抑制効果を認めた(p<0.05)。これにより、He-Ne照射により、培養ラット神経膠腫【C_6】細胞の増殖抑制が、細胞周期S期移行障害により惹起されることが明らかになった。DNA合成阻害に関する作用機序のより詳細なる解明は今後の大きな課題の一つである。また、He-Ne光束の培養液中での物理学的特性をより明らかなものとし、実験手法の合理性を高めることは重要であろう。
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