研究概要 |
腎移植は慢性腎不全の唯一の根治療法であり, 近年生体腎移植に加え死体腎移植も増加しつつある. そこで移植腎生着率の向上を計る為, 死体腎移植におけるrecipient selectionをより的確にするためにrapid MLRの開発, 新しいモノクローナル抗体による移植腎の免疫学的モニタリング, ならびに抑制性T細胞より分泌される免疫抑制因子を新しい免疫抑制法として臨床応用することを目的とした. 1.repid MLRの開発:リンパ球のタンパク合成測定によるrapid MLRは, 従来法MLRと極めて良い相関を示し, 又臨床的にもrapid MLRの%responseと生着率に相関を認め, 腎移植における組織適合性検査として有用であることを確認した. 2.モノクローナル抗体による移植腎の免疫学的モニタニング:急性拒絶反応の際にはOKT4/8比の上昇を認めたが疑陽性も多く臨床上では信頼性に乏しく単独での使用には無理がある様に思われた. しかしinvitroの実験MLRでは, モノクローナル抗体を使用した2color flowcytometryでleu3^+8^+細胞, OKT4^+17^-細胞が著明に増加していたことから新しい方法での免疫学的モニタリングとしての可能性を確認できた. 3.免疫抑制因子の研究:サプレッサーT細胞を濃縮し, マウス胸腺腫細胞株と細胞融合させることによって免疫抑制因子を産生する細胞を得, その化学的性質を検討する予定であったが, ハイブリドーマを作製することができなかった.
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