研究概要 |
周産期医学において重要な課題の一つはIUGR(intrautlrine growthretardation)とそれにともなうSFD(small for dates infant)発生要因の解明とその予防である。ヒトの場合に近い妊娠高血圧の好適なモデル動物として妊娠SHRSPを用いている。以前よりIUGR発生要因を追求する目的で胎盤を組織学的に検討している。ラットの子宮胎盤の母体動脈系を明らかにすることができたので、血管内腔の断面積と肥厚の程度を検討した。 妊娠20日のラットを用い、spiral arteryが子宮胎盤の中心部を貫く部分の血管内腔の断面積と血管肥厚の程度をimage analysis systemを用いて測定した。その結果をWKYをコントロールとし、未処置のSHRSP、妊娠11日より1.5%食塩を負荷したSHRSP-Na【I】、妊娠15日より2%食塩を負荷したSHRSP-Na【II】の4群にわけて整理した。血管内腔の断面積はWKY(81,129±29,969【μ^2】)が最も広く、次いでSHRSP(41,175±4,809【μ^2】)が広く、SHRSP-Na【I】(27,440±7,159【μ^2】)とSHRSP-Na【II】(26,714±5,449【μ^2】)はほぼ同じで最も狭い。血管壁の肥厚の程度を厚さと面積の比で求めるとSHRSP-Na【II】>SHRSP-Na【I】SHRSP>WKYの順であった。これらの実験成績からIUGR発生要因の一つは胎盤内母体側血管のnarrowingsとspasmsによるものと考えられる。 現在、これまでの動物実験からIUGR-SFDに対して治療効果が認めた硫酸マグネシウム,Solcoseryl,KCl,Urokinase,VitaminCについてその作用機序について追及している。
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