研究分担者 |
坂口 紀子 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (90170589)
白神 史雄 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (50187530)
小山 鉄郎 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (50135993)
大野 敦史 岡山大学, 医学部附属病院, 助手
田中 利幸 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (50171781)
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研究概要 |
外側血液網膜柵として重要な役割を果たしていると考えられる脈絡膜毛細血管内皮細胞および網膜色素上皮細胞の基底膜を三次元的に観察した. 材料は, 主にニホンザル眼およびウサギ眼を用いた. 一部は, ラット眼を用いた. 方法は, プリーズ・フラクチャーディープエッチング法を用いた. その結果どの基底膜の透明層に4〜13nmの連結細糸を認めた. これらは, 基底膜の微密層と細胞膜を連結していた. 脈絡膜毛細血管内皮細胞および網膜色素上皮細胞の基底膜の微密層には, 径6〜17nmの大きさの小孔を多数認めた. この小孔の大きさは, ウサギ眼脈絡膜毛細血管内皮細胞においては, サル眼のものとくらべてやや大きく, さらに老化によって若干大きくなる傾向が見られるたが, 統計学的には有意差はなかった. これらの小孔は, 分子の篩として重要な役割を演じていると考えられる. 一方脈絡膜毛細血管の基底膜の透明層では, 眼球の部位により, その幅などに差が認められた. 一方正価電化フェリチンを, 頚動脈内へ注入した眼においては, このフェリチン粒子は, 脈絡膜毛細血管内皮細胞のフェネストラの隔膜に凝集沈着しており, この部の強い負荷電化を示唆する結果であった. このことにより, この部が, 外側血液網膜柵の荷電膜関門としても重要な役割を演じているということができる. 一方網膜硝子体門の関門を形成する網膜内境界膜の基底膜分子篩も比較検討した. この内境界膜にも, 小さい孔が存在していたが, 脈絡膜毛細血管内皮細胞の基底膜の小孔より大小不同が多く見られ, 同じ基底膜でも, 内境界膜の方が, 基底膜分子篩が粗いということがいえる. 以上網脈絡膜における基底膜の基本構造は, どの部位においても同一ではあるが, 眼球の各部位, および動物種などによって異なっており, その部位に応じた透過性の制御を営んでいるものと考えられた.
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