研究課題/領域番号 |
60570858
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
奥田 克爾 東京歯大, 歯学部, 助教授 (40085741)
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研究分担者 |
小野 美千代 東京歯科大学, 微生物, 助手 (60167327)
加藤 哲男 東京歯科大学, 微生物, 助手 (00159253)
内藤 祐子 東京歯科大学, 微生物, 助手 (00147258)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 成人性歯周炎 / Bacteroides gingivalis / 特異的IgG抗体 / 防御的作用 / 補体媒介性殺菌能 / 定着阻害 / 受身免疫 |
研究概要 |
成人性歯周炎患者の歯周ポケット内でBacteroides gingivalisが増加していることを反映するように、歯周炎患者末梢血中の本菌に対するIgG抗体価が高まっていることを繰り返し証明してきた。まず、それらの抗体がin vitroで補体媒介性の殺菌を高めるか否か検討した。B.gingivalisの供試した7株中5株は、本菌に対するIgG抗体の存在下での補体媒介殺菌能に高い感受性を示し、2株は感受性が低かった。あらかじめこのヒト新鮮血清を本菌体で吸収したり、不活化するとその殺菌能は消失した。この事実は、本菌に対するヒト血清中のIgG抗体がB.gingivalisに結合し、補体系が活性化され殺菌作用を示したことを意味している。 B.gingivalisに対する補体媒介性殺菌能は、血清中のIgG抗体価に比例する。この殺菌能は、この実験系に接種された菌が多い場合その作用が充分に発揮されなかった。すなわち古典経路依存性の補体媒体性殺菌能には、その能力に限界があることを明らかにした。ヒトの歯周ポケットでB.gingivalisが過剰な場合、本菌に対する特異抗体と補体は、その防御作用が充分に発揮できなくなり、歯周組織は破壊されていくと考えることができる。B.gingivalis全菌体や本菌付着因子(hemagglutinin)をウサギに免疫して得た抗血清は、本菌の粘膜面への付着を抑え、補体媒介性殺菌能を引き起こす。この特異抗体をあらかじめ本菌を感染させておいたハムスターの口腔内へ、繰り返し接種すると、本菌は速やかに減少することを明らかにした。すなわち本菌に対する免疫血清は、受身免疫として本菌の歯周局所からの排除を引き起こることができる。 本研究の知見を総合すると、B.gingivalisに対する体液性抗体は、主として防御的に作用を示すと考えられる。今後この防御性免疫をいかに効果的に作動させるかについて検討する。
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