研究課題/領域番号 |
60570880
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
堀口 毅 日大, 歯学部, 講師 (20121139)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | アクチン分解酵素 / 筋原線維の崩壊 / 横紋筋 / 変態 / 無尾両生類幼生尾部筋 |
研究概要 |
哺乳類の咬筋組織の崩壊機構を解明するための基礎的研究として、咬筋組織と同種類の横紋筋線維から構成されている各種の骨格筋組織の崩壊現象に注目し、これらに普遍的な要因や経過を細胞レベルで検討することに主眼を置いて、本研究は実施された。研究材料として、崩壊が複雑な実験系を構築することなく、変態現象によって生じる無尾両生類の幼生尾部筋組織を選定した。60年度においては、変態時の尾部に、その存在が示唆されていたアクチンを分解する酵素と筋組織崩壊との関係の検討から実施した。この結果、アクチン分解酵素はこれまで知られていない酵素であること、Gアクチンのみならず、Fアクチンにも分解活性を示すこと、などが明らかになった。このため、未変態の幼生尾部筋組織をアクチン分解酵素で処理し、形態学的に検討したところ、筋組織中のアクチンにも効果を示し得ることがわかった。この酵素は、マウスの腓腹筋中のアクチン線維にも同様の効果を示し、骨格筋組織の崩壊に普遍的な要因である可能性が示唆された。61年度においては前年度の実験について、アクチン分解酵素による筋原線維崩壊の過程を、反応時間を追って検討した。この結果、自然変態時の筋原線維に見られるすべての構造変化は、この酵素単独の作用だけで説明が可能になった。すなわち筋原線維に対するアクチン分解酵素の作用機序を、次のように推定した。 1.I帯中のアクチン線維が最初に分解を受ける。2.Z盤は、酵素作用を受けないが、存在様式から、その構造を維持できなくなり、A帯だけの断片が出現する。3.本来のI帯の位置で、隣接するA帯どうしが重なり合う。4.A帯中のアクチン線維が分解され、ミオシン線維だけが末広がり状態になる。以上から、自然変態において、アクチン分解酵素は、筋原線維崩壊の初期過程に重要な役割をもつことが推定され、横紋筋の崩壊現象にも普遍的な要因の1つである可能性が高いと言えよう。
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