研究概要 |
イヌの実験的歯周炎における歯肉リンパ球の機能を調べるために、雑種成犬5頭に実験的歯周炎を惹起し、歯肉局所に浸潤したリンパ球の抗体産生能を調べた。同時に末梢血,顎下リンパ節リンパ球の抗体産生能との比較も行った。 その結果:1)採取した歯肉湿重量は平均1.5gで回収したリンパ球総数及びリンパ球の生存率は平均4.60×【10^6】(2.5〜6.8×【10^6】)平均93%(80〜100%)であった。2)IgG産生量は、歯肉,末梢血,顎下リンパ節リンパ球の順に高く、培養3日目の未刺激の歯肉リンパ球がOD値で平均0.707であるのに対して末梢血,顎下リンパ節ではそれぞれ平均0.641,平均0.383であった。同様に、IgM産生能では、末梢血が最も高く、ついで歯肉,顎下リンパ節リンパ球であった。培養3日目における産生量は、順に0.362,0.253,0.118であった。PWM刺激による抗体産能の亢進は、歯肉,末梢血,顎下リンパ節リンパ球いずれの場合も認められなかった。 以上のことより、歯肉に存在するリンパ球はすでにmaturationがかなり進んだ細胞と考えられ、分裂活性は低いが盛んに抗体産生を営む細胞であると考えられる。さらに、歯肉において産生される抗体はIgGが主体であり、すでにIgG産生細胞ヘクラススチイッチした細胞が多く存在する可能性が示唆された。
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