研究分担者 |
前田 芳信 大阪大学, 歯学部, 講師 (10144510)
荘村 泰治 大阪大学, 歯学部, 助手 (10154692)
寺岡 文雄 大阪大学, 歯学部, 助手 (00099805)
高橋 純造 大阪大学, 歯学部, 助教授 (80029149)
木村 博 大阪大学, 歯学部, 教授 (70036218)
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研究概要 |
老齢化社会の健康問題と関連し, 人工歯根の開発研究は今後の重要な課題となろう. 従来から用いられている義歯は咬合, 味覚の面から十分とは言えず最近脚光をあびるようになったセラミックスインプラントも成形, 加工が困難な事, 有機質との自然な結合が望めず, 力学的観点から見ても好ましいとは言えない. 本研究では, 天然歯が歯根膜によってそれらの機能をすべて遂行していることに鑑み, 不溶化コラーゲンからなる人工歯根膜で代用することを考え, 基礎実験を行なうことにした. その結果, テスラーコイル型発振器(備品)を改良し, 空気中, 真空ベルジャー反応器中でのブラズマ処理条件を検討し, 無菌箱(備品)中で紫外線照射を試みたところ, 各種材料表面へのコラーゲン膜のコーティングが可能であることが示唆された. またX線回析, IR, 熱分析等により検討した結果, クロスリンキングに伴う不溶化が進行することが確認された. ミニスターラ(備品)を用い, アパタイトを合成し, この粉末試料とレジンモノマーとによりコンポジットレジンを作成するとともに, コラーゲンと練和することによりアパタイト・コラーゲン複合体を作成し, ラット皮下に埋入することによりその不溶化の程度を観察した. その結果, きれだった拒否反応や炎症反応は認められなかったもののコンポジットレンジ試料については異物反応としての認識があり, 長期間埋入でも代謝されなかった. アパタイト・コラーゲン複合体については良好な生体親和性を呈したが, 早期に一部代謝された. 人工歯根膜としてのコラーゲンの機械的強度は, 乾燥状態では十分であったが, 液中では数分の一に低下した. 今後は, このコラーゲン膜の接着強度と耐久生についてさらに検討するとともに, 骨増殖因子等を加えることにより生化学的な立場からも保持力の向上を検討して行きたいと考えている.
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