研究概要 |
合成した3種のビシクロオルソエステルの膨張性モノマー:1-ビニルー4-エチルー2, 6, 7-トリオキサビシクロ〔2, 2, 2〕オクタン(VETOBCO), イソホロン基を有するウレタンビシクロオルソエステル(IPDI-BCOE)およびトリメチルヘキサメチレン基を有するウレタンビシクロオルソエステル(TMHMDI-BCOE)と希釈モノマーとしてトリエチレングリコールジメタクリレート(3G)あるいはジメタクリルオキシエチルトリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDMA)との比率を変化させ, しかも試作したシラン処理を施こさなくても, ベースレジンとなじみやすい約径1um(粒度分布を有する)のα型石英の表面改質微球状フィラー(75wt%一定添加)とを組合せ, 膨張性コンポジットレジンを試作し, それらの物性を比較検討した結果, 次のような結論を得た. 1.練和時間では, 3種の膨張性モノマーはいずれも添加量が増すにつれて長くなる傾向を示した. 特に, VETOBCO/3G=8/2およびIPDI-BCOE/UDMA=8/2の場合, 練和ができなくなった. 2.硬化時間では, 3種の膨張性モノマーの添加量が増すにつれていずれも遅延する傾向を示した. 特にTMHMDI-BCOEとUDMAの系はIPDI-BCOEとUDMAの系よりもその傾向は著しかった. 3.圧縮強さおよび引張強さでは, 3種の膨張性モノマーの添加量が増すにつれていずれも低下する傾向を示した. 4.本研究で使用したイオン重合のカチオン触媒(C_2H_5O・BF_3は寿命が短く, しかもラジカル重合触媒BPOに比べて重合反応速度が遅かった. 以上のことから, 膨張性コンポジットレジンを実用化するためには膨張性モノマー, 重合触媒(できればラジカル重合触媒)および促進剤の種類ならびに添加量などの検討が必要と考える.
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