研究概要 |
歯科補綴物材料として, 今後高硬度, 高強度の材料の使用がますます増加し, 従来の回転による機械研削のみでは限界があるので複合研削の用途が増すと考えられた. この複合研削法は研削条件により機械的のみならず, 電気化学的要因が研削時に複合現象として現われた. 1.歯科技工に用いられているハンドピースによる回転運動の機械研削に電解研磨を併用した場合の歯科用難削材に対する複合研削の実用性について検討した結果, 炭化チタンを主材として立方晶窒化ホウ素を配合した導電性砥石を用いると機械研削のみを比べると研削量の増加と研削面性状の改善が認められた. 2.電解複合研削法は電解液を用いる湿式研削であり, 砥石の回転により電解液の飛散が避けられないため, 歯科技工のような手作業では術者の安全性に問題があり, さらに研削部位を直視しずらいので操作性が悪いことも, また電解効果が十分に発現されないことなど考えられた. 3.電解複合研削法をより実用的なものにするため, 従来の回転運動に変えて新たに往復運動を利用した研削方法について検討を加えた. 往復運動を利用した電解複合研削を応用すれば, 電解液の飛散もなく, 手作業で研磨ができ, しかも加工の主体が電気化学的除去であるので, 往復運動の機械研削効率が劣っていも, 陽極に生じた表層の反応生成物を除去するのは容易であった. 従って, むしろ効率の良い研磨が可能になると考えられた. 往復運動を用いた電解複合研削による歯科用難削材の研削システムを確立した.
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