研究概要 |
Flow cytometryによって口腔領域の腺系腫瘍の核DNA量の測定を行ない、本腫瘍の生物学的特徴を明らかにし、診断に役立てることを目的とした。材料は、腫瘍群として、6唾液腺腫瘍(1多形性腺腫,2腺様嚢胞癌,1腺房細胞癌,1悪性唾液腺腫瘍,1腺癌)、または非腫瘍性対照群は12例(5顎下腺,4non-metastaticリンパ節,3口腔粘膜上皮)である。これらの材料のDNA histogramからDNA ploidyとcell cycleが測定され、細胞診の形態学的所見と比較された。 結果として、細胞診で2腫瘍(1悪性唾液腺腫瘍と1腺癌)だけが悪性だったが、他症例は悪性微は軽微だった。DNA量分析で、6腫瘍例中4例(1多形性腺腫,2腺様嚢胞癌,1腺房細胞癌)が対照群と同じ正常型のhistogramであった。悪性唾液腺腫瘍例はdiploid patternであったが、tetraploid peakが有意に上昇していた。腺癌例は2つの腫瘍細胞型をもつことがわかった。Diploid type細胞とaneuploid type細胞で、この腫瘍はmulticlonal typeの腫瘍であった。Cell cycleの分析で、diploid腫瘍は明らかに対照群のS%より明らかに低く、これは増殖能が正常組織より低いことが示唆された。Aneuploid腫瘍の腺癌のS%は対照群と同じ7%であった。Flow cytometryによるDNA量分析は、多クロナール腫瘍とか増殖能とかの腫瘍の生物学的特徴を明らかにでき、臨床的に有用な情報を得ることがわかった。
|