研究分担者 |
田所 美恵 昭和大学, 歯学部・口腔衛生学教室, 助手 (10188279)
杉村 たか子 昭和大学, 歯学部・口腔衛生学教室, 助手 (00175704)
古山 公英 昭和大学, 歯学部・口腔衛生学教室, 講師 (10119191)
富田 美佐子 昭和大学, 歯学部・口腔衛生学教室, 助教授 (60085842)
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研究概要 |
有機質中微量フッ素(F)の測定は、その分離法,測定精度などの点で問題点が多いが、各研究者が独自個別の方法を実施しており、測定値の相互関係などが確立していない。さらに近年血清中FはtotalFおよびionizableFに分けて測定されるようになり、試料の前処理の必要もなく、高感度で血清中totalFを測定できるというAlF分子吸光法は多くの期待を集めている。しかし、AlF法はフレームレス原子吸光装置を使用し、かなり高度な分析技術を要する測定でもある。本研究ではこのAlF法の実用性とその限界について追究するための基礎的研究検討を行って以下の結果を得た。 1.操作条件の検討;測定感度上昇および良好な測定の再現性(日間変動を小さくする)のためには、灰化温度および時間,原子化温度を至適条件にすすことは当然であるが、試料注入方法,Al溶液の組成(Al濃度および増感剤Ba,Sr,Niなどの選択および割合),検体の性状に合わせたトリトン濃度およびAl溶液の選択などが必要であることが判った。これらの至適条件を選択した結果、島津670型原子吸光装置による下検出限界は1%吸収値が0.05ngとなり、文献値0.04ngとかなり近似した値となった。牛血清試料についての再現性は、Al溶液にNiおよびSr又はBaを加えるとグラファイトチューブの寿命も長くなり、比較的良好な結果が得られた。 2.NaF飲用ラット血漿のF測定;F飲用のラット(Control,F50ppmF100ppm群)の血漿中FをFイオン電極(IE)でionizableFを、totalFはAlF法と低温灰化-ガスクロマトグラフ(GC)法で測定し両者を比較した。GC-AlF法の相関は、0.964となり高い相関が認められた。この結果もAlF法の実用性の証明の一つではあるが、AlF法は使用する原子吸光装置について、独自の測定条件検討が必須であることも本研究を通じて認められ、簡易な日常分析法としては更に検討が必要であることが判った。
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