研究概要 |
中国で現在市販され, 去痰, 鎮咳, 鎮静の目的で処方されている貝母は, 数十種に及び, 基源植物は百種を超えるとされている. しかし夫々の基源植物は植物学的に形態を著しく異にし, 薬理作用も異なることが指摘されてはきたが, 含有成分の差或は性格な薬理作用の差について殆ど研究されてはいない. 本研究においては, 最も代表的中国産貝母について, 成分の差とこれに伴う薬理作用の差を明らかにし, 適正な貝母の処方の指針を確立する目的で研究を行った. 四川省梭砂貝母Fritillaria delavayiからは, 既知化合物であるimperialineの他に, 種alkaloidとしてdelavine(D/E cis-20-deoxy-(22S, 25S)-5α-cevanine-3β, 6β-didl), delevinone(D/E CIS-20-dexy-(22S, 25)-5α-cevamine-3β-ol-6-on)chuam beinone(D/E cis-zo-deoxy(22R, 25S)-5α-cevanine-3β-al-6-on)を夫々新規化合物として単離同定した. 次に黒龍江省で生産されている平貝母F.ussuriensisの成分研究を行い, 主alkaloidの一つとしてussurienine(5α-cevanine-3β, 6β-diol骨格上D環が芳香化し, C-27とC-18間C-C結合して新しい環を形成)を単離同定したが, D環が芳香環, 7環性の新規骨格の化合物を同定した. 湖北省は四川省と並ぶ貝母の生産血であって, 代表的鄂北貝母E.ebeiensisからebeienine(13-17 dide by dro-20-deoxy-5α-cevanine-3β, 6β-diol)eleiedine(D/Etrans 20-deoxy-5α-cevanine-3β, 6β-diol)ebeidinone(D/Etrans-20-deoxy-5α-ceianine-3β-ol-6-on)々の新規alkaloidを単離同定した. 又新疆産伊貝母F.pallicaflaraの成分研究を行い, 主alkaloidとしてimperialine(30%)ebeiedinone,de lavinoneを微量成分として同定した. 以上の5α-cevanine albialoidには環血管拡張作用, 鎮痛作用, 強心性作用, 血小板凝集阻制作用, 局所麻酔作用等が顕著に認められ, 呼吸器系, 狭心症等の疾患治療薬として可能なことが示唆された.
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