研究概要 |
化学発がんに関与している2つのプロセスのうちで、特にプロモーションの段階でのタンニンによる抑制効果を検討すると共に、この種の効果が期待される種々の化学構造のタンニンを薬用植物から単離し、構造解明した。また発がんと関連があるとみられる過酸化の抑制およびそのメカニズムに関しても、各種タンニンおよび関連ポリフェノール類について検討した。 まずフウ,ドクウツギ,ゲンノショウコ,メグスリノキ,シソ,ハゼノキ,ヨモギ,ユキノシタ,喜樹,バンジロウ,シコンノボタン,カリン,岩白菜,オオニシキソウ,モクゲンジ,トルメンチラ,メディニラ,甘草,柿(葉),飛揚草,刺梨,カイノキ,その他関連植物多数から新しい化学構造のタンニンおよび関連ポリフェノール類数十種を単離,構造決定し,これらの植物の進化の系統との関係についても明らかにした。これらは加水分解性タンニンオリゴマー類,C-グルコシド型タンニンおよび関連化合物,複合タンニン類,アスコルビン酸とエラジタンニンの付加体,その他キナ酸を母核とするガロタンニン類,カフェ-タンニン類,タンニン活性を持つフラボノイド誘導体等多数が含まれる。これらのうち18種を用い、まず発がんプロモーター(【^3H】-TPA)とレセプターとの結合阻害実験において、その大部分に阻害活性を認めた。さらにその中でペンタガロイルグルコースおよびエピガロカテキンガレートについて発がんイニシエーターとしてDMBAを、プロモーターとしてteleocidinを用い、マウス皮膚がん二段階実験での阻害効果を検討したところ、発がんプロモーションの関与する皮膚発がんを25週の間にその頻度において、1/2〜1/3程度に抑制し、また発がんした各マウスの腫瘍細胞数をも著しく(EGCGで約1/20に)減少させた。
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