研究概要 |
1.バラ科甘葉懸鈎子、掌葉覆盆子に関する研究:広東地方に野生する甘葉懸鈎子(Rubs suavissimus)の葉は強い甘味を示し、甘味ジテルペン配糖体、ルブソシドを大量に含む。今回本植物の果実もルブソシドを少量ながら含むことが証明された。又、上記植物と形態的に似ている中国産掌葉覆盆子(R.chingii)の葉からゴショノシドF1-5を分離し、その日本産ゴショイチゴとの化学成分的同一性が明らかにされた。更に、中国市販の生薬覆盆子の起源植物は上記掌葉覆盆子であることを化学成分的に立証した。 ルブソシドに対し、でんぷんを供与体とし、Bacillus megateriumの産生する酵素を用いた糖転移反応を行ない、グルコ-スを増加させて甘味の改良と甘味と構造との相関を明らかにした。 2.ステビア葉の甘味配糖体の超臨界流体抽出の研究:ステビア葉の甘味配糖体、ステビオシドやレバウヂオシドAはルブソシドと構造的に類似している。これらの甘味配糖体は、その葉を水をエントレーナーとした炭酸ガスの超臨界流体で殆んど100%抽出されることを見いだした。 3.クルミ科黄杞葉の成分研究:本植物(Engelhardtia chrysolepis)は広東地方に野生するが、その葉は甘味を示す。今回その甘味物質の検索を行い、庶糖がその甘味に寄与していることを明らかにした。更に、配糖体分画にも甘味を認め、これより、既知物質eucryphin,astilbinと共に新シス型ジヒドロフラボノールのラムノシドを分離し、構造決定した。 4.ウリ科肉花雪胆の配糖体の研究:本植物(Hemsleya carnosiflora)は中国南部に野生する民間薬である。その槐茎より6種のククルビタン系配糖体carnosifloside 【I】-【VI】が分離され、構造決定された。【I】は無味、【II】,【III】,【IV】は苦味、【V】,【VI】は甘味を示し、本系統の化合物の味と構造の相関に興味ある研究材料となった。
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