研究概要 |
日本薬局方収載生薬麦門冬(ジャノヒゲOphiopogon japonicus KER-GAWLER)からホモイソフラバノンおよびホモイソフラボン9種の抽出, 分離法を再検討し, 生物活性試験に供する試料を調製した. その結果, 原料のメタノールエキスを水とエーテルで分配し, 得られたエーテルエキスをSephadex LH-20-メタノール系カラムクロマトグラフィーで粗フェノール画分を分離した後, Silicic acid-(クロロホルムーメタノール)系のカラムクロマトグラフィーで再分画し, 更に各画分をそれぞれSilicic acid-ベンゼン系, Sephadex LH-20エタノール系, Silicic acid(ベンゼンーアセトン)系カラムクロマトグラフィーで分離, 精製することが効果的であることを確認した. この抽出, 分離法に基いてナガバジャノヒゲより6種, ノシランより4種, セッコウリュウノヒゲより7種のホモイソフラボノイドを単離し, その構造を明らかにするとともにオオバジャノヒゲ, チャボリュウノヒゲにホモイソフラボノイドの存在することを確認した. 平井は生物活性, 薬理活性の試験を目的として必要試料の合成法を検討した. 合成目的物の選定のため, 天然より分離した約20種のホモイソフラボノイドのうち6種の化合物の諸種癌細胞(U-937,HL-60,ML-1細胞)に対する分化誘導活性試験を行った. 既に合成を報告したmethylophiopogonanoneA,B, isoophiopogononeA,B, desmethylophiopogononeBはいずれも合成出発原料である. monomethylまたはdimethylphloroacetophenoneの合成法の改良が望ましいことからこれらの合成法について検討を行った.
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